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『命と向き合うデザイン』
新・デザインについて−4
産業革命とは、19世紀のイギリスから始まった、技術革新による産業・経済・社会構造の一連の変革を指す言葉です。技術の革新によって、従来の手工業から機械工業へと変化した産業基盤によって、それまでに蓄積されていた資本を使い、農村で溢れた労働者を都市に引き入れました。結果として、主となっていた綿織物工業を中心に、それに関係する製造業・搬送業などあらゆる産業へ革新は波及しました。労働者階級人口が爆発的に増加し、産業資本家に次ぐ勢力となったため、経済・社会構造にまでその変革はおよびました。やがて第1回ロンドン万国博覧会(1851年)を迎え、当時の先進国の多くに産業革命の波が押し寄せることになります。ここで着目すべきは、手工業から機械工業へと変化した技術的な部分についてです。製造者の視点に立つと、産業革命以前は職人の手によって一つ一つつくられることが基本でした。言い換えれば「職人がつくることができる」ということが製品化・商品化の成立条件でした。しかし、産業革命以降は、機械が一度に大量に製造できることが成立条件になったといえます。この移行は当初は速やかにいかず、品質の悪い粗悪な商品が出回ることになります。しかも、製造機の改良が進み品質が向上すると、今度は逆に、産業資本家が利潤を追い求めるために生産コストを下げ、安く質の悪い商品が大量に生産されることになりました。また、労働条件の悪化を起因とするヒューマンエラーによる品質低下もこれに重なりました。 ・Alvin Toffler; The Third Wave, Bantam, 1984 ・Nikolaus Pevsner; Pioneers of Modern Design, From William Morris to Walter Gropius; Revised and Expanded Edition, Introduction by Richard Weston
‡ 健体康心 ‡
本日、健康の元の言葉として「健体康心」という言葉を久しぶりに聞きました。 色々なブログや記事でも出てくるお話ですが、その根本的な意味については、 表面だけの理解で良いのだろうか、と感じています。 まずは、『漢字源』(学習研究社/藤堂明保)からそれぞれの意味を引用しておきます。 『健』 会意兼形声。建は「聿(筆の原字で、筆を手でたてて持つさま)+廴(歩く)」の会意文字で、 すっくとたつ、からだをたてて歩くの意を含む。健は「人+音符建」。 建が単に、たつの意となったため、 健の字で、からだを高くたてて行動するの原義をあらわすようになった。 『体』 会意。形声。本字の體は「豊(きちんと並べるの意)+骨」。 体は「人+音符本」で、もと笨(太い)と同じくホンと読むが、 中国でも古くから體の俗字として用いられた。 尸(人の横に寝た姿)と同系で、各部分が連なってまとまりをなした人体を意味する。 のち広く、からだや姿の意。 『康』 会意兼形声。康は「米印+音符庚(糸巻きのかたいしん棒)」で、 かたい筋のはいった穀物の外皮のこと。糠(米ぬか、もみがら)の原字。 転じて、じょうぶでかたい。筋が通っているなどの意となる。 『心』 象形。心臓を描いたもの。 それをシンというのは、沁(しみわたる)・滲(しみわたる)・浸(しみわたる)などの同系で、 血液を細い血管のすみずみまで、しみわたらせる心臓の働きに着目したもの。