2010年1月28日木曜日

『命と向き合うデザイン』 

 視覚とは



生物の性質の一つに
恒常性(Homeostasis)というものがあります。
生体の状態を、
環境因子の影響から守るために働く性質です。
これは、視覚にも働きます。
例えば、観察距離による大きさへの影響は、
恒常性によって、あまり反映されません。
つまり、
対象物の絶対的な寸法を、
視覚から得ることは非常に困難です。
それ意外にも、
例えば、広大な空間の中で、
大きな建造物を見る時、
開けた場所で夜空を見上げた時、
距離感が掴みにくくなることがあります。
それは、比較する対象がないために
発生することです。
比較する対象がある場合、
恒常性は全体のバランスを取って作用します。
そうしなければ、
相対的な寸法関係が狂ってしまうからです。

ある対象物を視覚によって知覚する時、
人間はその目の構造から、
3次元の対象物を、
まず、
2次元(網膜)に照射することで認識します。
そして、
その情報を、もう一度脳内で3次元化し、
対象物を立体として知覚します。
2次元化によって消失した奥行き情報は、
二つの眼球から得られる差異によって、
擬似的に再現されます。
眼球同士の距離は経験からわかります。
あとは、
対象物の大凡の大きさ、または、
対象物までの距離、
どちらかの情報があれば、
残りの一つが求まります。
これらの情報を変化させることで、
錯覚や立体視と呼ばれる現状が発生します。

視覚に依存した表現をするならば、
デザインをしていく上で、
バランスは非常に重要です。
人間は、バランス=比較でしか、
対象物を把握できないからです。