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† 目を瞑る †

「瞑」という漢字があります。 昨日、たまたま打った中にあった文字なのですが、 「あ、つぶるってこう書くのか」と感じたため、メモしていました。 ただ目を閉じる行為のことですが、 それに「冥界」の冥の字を冠した言葉が付くなんて、とちょっと驚きました。 折角なので「瞑」を見てみると、、、 と思って調べてみると、漢字源の方には 「つぶ(む)る」という読みがないことに気がつきました。 「つぶる」と「つむる」の話もありますが、まずは漢字の方から考えます。 元々の漢字の読みにはなく、意味として、 「 目を閉じてなにも見えないさま。 」とあることから、 つぶ(む)る、という読みが与えられたのかな、と感じます。 因みに解字はこうなっていました。 ・解字:会意兼形声。「目+音符冥(メイ)(おおわれてくらい)」で、目をふさぐの意。 「 冥 」 ・解字:会意。「冖(おおう)+日(ひ)+六(入の字の変形)」で、日がはいり、何かにおおわれて光のないことを示す。また、冖(ヘ゛キ)(おおう)はその入声(つまり音)にあたるから、冖を音符と考えてもよい。 意味としては、冥界や冥府と並ぶ感は理解できますが、 それにしても、つぶる、という言葉の漢字に当てるほどなのか、 と、ちょっとした違和感も覚えました。

† 曖昧 †

あいまい、という表現について。 それぞれの漢字について、解字を見てみます。 「曖」 ・意味:くらい(くらし)。日が雲に包まれてくらいさま。はっきりけじめがつかない。 ・解字:会意兼形声。旡(カイ)・(キ)は、胸がいっぱいに詰まってのけぞったさま。 愛はそれに心と夂(あし)を加え、胸が詰まって足もそぞろに進みかねる意を示す。 曖は「日+音符愛」で、日が雲にはばまれて進みかねること。 「曖」は同義語に「靉(アイ)」があるとのこと。 見たことあるかな?と思う漢字です。調べてみると、 靉は「雲が行きかねて止まる」という意味で、 同義語に「靄(アイ)」があるとのこと。 こちらも調べてみると「 雲やかすみがたちさりかねてたなびくさま 」 堂々巡りのようにも見えますが、 要は、自然現象によって見えにくくなっている状態のようです。 丁度出てきたので、「愛」の字も見てみます。 「愛」 解字:会意兼形声。旡(カイ)・(キ)とは、人が胸を詰まらせて後ろにのけぞったさま。 愛は「心+夂(足をひきずる)+音符旡」で、 心がせつなく詰まって、足もそぞろに進まないさま。 こちらはある意味、わかりやすく、そのままの印象です。 「旡」は珍しい漢字ですので、こちらも見てみます。 「旡」 解字: 象形。腹がいっぱいになって、ため息をつくさまを描いたもの。 この字形は、欠(腹がへってしぼむ)と反対である。 のち、ごちそうを示す部分をそえて、既とも書く。 現代の日本では用いない漢字ですし、 ちょっと印象とは違っていました。 他方、「昧」の方についても同様にします。 「昧」 解字:会意兼形声。未(ミ)・(ヒ゛)は、小さくて見えにくいこずえのこと。 昧は「日+音符未」。 「未」 象形。木のまだのびきらない部分を描いたもので、まだ…していないの意をあらわす。 こちらは素直にわかりやすい印象を受けます。 この二つの漢字から曖昧となりますが、 愛と雲のあたりはもう少し細かく見ていきたくなりました。

† 懇ろ †

画材を買いに地下鉄に乗っていると、 吊り広告に次の言葉が出ていました。 「山は富士、海は瀬戸内、湯は別府」 この言葉については別で取り上げるとして、 これに関連して、別府温泉の宣伝が続き、 その中に一節がありました。 聖書から「旅人を懇ろにせよ」 帰って調べてみると、 聖書のヘブル人への手紙の13:2からの引用とのことです。 "Do not forget to entertain strangers, for by so doing some people have entertained angels without knowing it." 「旅人をもてなすことを忘れてはならない。 このようにして、ある人々は、気づかないで御使たちをもてなした。」 これを「旅人を懇ろにせよ」とまとめる力、すごいと感じました。 漢字が持つ力、とも言えると感じます。 「懇」 解字 会意兼形声。上部の字(音コン)は深くしるしをつける意を含む。 懇はそれを音符とし、心を加えた字で、心をこめて深く念をおすこと。

† 穿 †

「穿」 「貫」 「串」 「川」 これらは同系の漢字、という表記を見ました。 一見すると上の二つは、なんとなくそうなのだろう、と感じます。 三つ目の串にしても、役割を考えれば違和感はありません。 ただ、最後の「川」に関しては思わず「え??」と声が出ていました。 それと同時に、今まで調べたことも考えたこともなかったことに気づきました。 漢字源で確認してみると、 「川」には異体字として「巛」があるそうです。 解字を見てみます。 象形。く印は地の間を縫って流れる川の象形。川は、三筋のく印で川の流れを描いたもの。貫(つらぬく)と同系であろう。穿(セン)(つらぬく、うがつ)と最も近い。 漢字の「近さ」というものがどこから来るのか、 部首などの部品によるものが多いのではと考えていましたが、 それだけではないことがわかるとともに、 同系の中にも近さが異なるものがある、という点に非常に興味が湧いてきました。

† こだわる④ †

「こだわる」という言葉の漢字から考えを進めてみた。 「拘る」は広辞苑や漢字源には出て来ないが、ただ、変換には含まれている。 部首について考えるサンプルに丁度良いので、こちらも書き留めてみる。 「拘」  会意兼形声。句は「かぎ型+勹(つつむ)」からなり、狭いかぎ型のわくに包まれること。  拘は「手+音符句(ク)」で、狭いわくの中に押しこめること。 「句」  会意。「└型+┐型+口」。かぎ型で小さくかこったことば、  つまり、ひと区切りの文句を示す。区別の区(狭いわく)と縁の近いことば。 「手」  象形。五本の指のある手首を描いたもの。 「勹」  象形。人が前に物を抱きかかえ、からだをまるく曲げて包んだ姿を描いたもの。  また、手や膜で物を包んだ姿と考えてもよい。包・抱・胞などの原字。 「口」  象形。人間のくちやあなを描いたもの。 意外なほど、漢字の構成が綺麗に整理できた。 素材としては全て象形からなっており、 それが段階的に象形→会意→会意兼形成と拡大していく。 改めて、「拘」の意味は下記である。 ①とらえる。せまいわく内にとらえて自由にさせない。かかえこむ。 ②かかわる。とらわれる。せまいわくに縛られる。なずむ。「拘泥」 ここから勝手に発想してみると、 「勹」が最も中心的な意味として、 何かを包み、外から隔絶させることを指し示し、 「口」によって、より明確に区切り、 「手」によって、押し込める、という意味が形成されたと考えられる。

† こだわる③ †

「泥」「尼」「怩」「昵」「眤」 それぞれを分解してみると次のようになる。 「尼」 ・音 :ニ呉、ジ漢、ネイ呉、デイ漢 ・訓 :あま ・意 :あま、ちかづく、なずむ ・解字:会意。「尸(ひとのからだ)+比(ならぶ)の略体」で、人が相並び親しむ様を示す。 「泥」 ・音 :デイ漢、ナイ呉 ・訓 :どろ ・意 :どろ、ひじ、なずむ ・解字:会意兼形声。「水+音符尼」で、ねちねちとくっつくどろ。 「怩」 ・音 :ジ漢、ニ呉 ・意 :はじる ・解字:会意兼形声。「心+音符尼」で、いじけてぐずぐずする柔弱な気持ち。 「昵」 ・音 :ジツ漢、ニチ呉、デイ漢、ネ・ネイ呉 ・意 :ちかづく、なじむ ・解字:会意兼形声。「尼(親しみやすい女性)+音符日」で、そばにくっついて親しむこと。 「眤」 ・音:イ ・意:ちょっとみる。盗みみる。 基本を「尼」と考え、それぞれの漢字を見てみる。 尼だけが会意であり、他の文字は会意と形声であり、 尼は音符とのことだが、尼を一つの漢字として、会意になっていると考えられる、 尼が持つ、親しく接するという意味に、 水、心、日、目がそれぞれの意味で付与されていると考えられる。 これらを踏まえ、「拘」に戻ってまとめてみる。

† こだわる② †

「なずむ」という言葉がある。 「泥む」と書くが、知らない言葉であった。 広辞苑によると次のように意味が出てくる。 ①行きなやむ。はかばかしく進まない。とどこおる。 ②離れずにからみつく。 ③なやみ苦しむ。気分が晴れない。 ④拘泥する。こだわる。 ⑤かかずらわって、そのことに苦心する。 ⑥執着する。思いつめる。惚れる。 ①から③までは、例文は万葉集が出てくることから、 当時から使われていた言葉であることがわかる。 今回問題にしている「こだわる」という意味としては、 徒然草が例文に出てくることから、 鎌倉時代には意味として存在していたことになる。 要は、何らかの考えや思いにつかまり、 物事が進まなくなっている状態を指しているようである。 漢字源で見てみると、 「なずむ」といれるだけで、 5つの漢字が表示された。 「泥」「尼」「怩」「昵」「眤」 「尼」を調べることが近道と感じたため、検索してみると、 解字:会意。「尸(ひとのからだ)+比(ならぶ)の略体」で、人が相並び親しむ様を示す。 もと、人(ニン)(親しみあうひと)と同系。 のち、「あま」の意に専用されたが、尼の原義は昵懇の昵の時に保存された。 いよいよもって、当初の目的通り、 部首について調べていくことが肝要であると感じているが、 まずはこの「こだわる」から展開された言葉について、整理していく。

Method③: 構成による差異性

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常用漢字のうち、形声文字が61.4%を占めているとのことです。 形声文字とは、漢字を結合し、一方を発音の記号、他方を意味範疇の記号にとする、 とのことですから、 部首について考える上では形声文字が最も扱いやすいと考えます。 ここからは一方を「音符」、もう一方を「意符」と表記して進めます。 前々回の構成の考えから、7つの組み合わせがあるようですが、 これにもまた数量のばらつきがあるようです。 偏が意味で旁が音、という組み合わせがダントツのようですが、 左右上下の組み合わせはほぼほぼ同数のようです。 これが構や垂、繞になると意味と音によって大きくことなるようです。 例えば、部首としての「金」を考えてみると、 偏の時もあれば脚の時もあります。 どういう理由から構成がつくられるのか、考えてみます。

Method②: 字形の構成分類6種

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漢字を、偏や旁という構成で考えていくと、 そもそもの字形の成り立ちについて考えることになります。 現代の漢字に関して言えば、「六書」という分類が一般的です。 広辞苑第五版(岩波書店)には、次のように載っています。 【六書】  漢字字形の構成および漢字用法に関する6種の別、  すなわち象形・指事・会意・形声・転注・仮借。 象形文字などはよく聞きますし、会意文字というのも聞いたことがあります。 それぞれを調べてみます。 【象形】  物の形をかたどって字形とする方法。  「日」「月」「人」「木」の類。 【指事】  事柄や数などの抽象的な概念を象徴的に記号化して字形とする方法。  「一」「二」「上」「下」「本」の類。 【会意】  漢字を結合し、それらの意味を合わせて書を表す方法。  「人」と「言」とを合わせて「信」とする類。 【形声】  漢字を結合し、一方を発音の記号(音符・諧声譜)、他方を意味範疇の記号(義符・意符)に用いて書き表す方法。  例えば、「可」と「氵」(「水」の略体)とを合わせて「河」とする類。 【転注】  ある漢字の本来の意義を他の近似した意義に転用すること。字音を変えるのを普通とする。  「わるい」の意の「悪(アク)」を「憎む」の意(字音「ヲ」)とする類。 【仮借】  ある語に当てるべき漢字がない場合、本来の意味は違う同音の他の漢字を借りて当てたもの。  食べ物などを盛る器の「豆(とう)」を「まめ」の意に用いる類。 例が秀逸です。 上部4つはわかりやすいですが、最後の2つはあまりはっきりとしません。 一体、どういう比率で存在するのか確認したところ、 研究されている方がいらっしゃいました 1) 。 常用漢字(2136字)における割合とのことです。 ・象形 265字 12.4% ・指事 10字 0.5% ・会意 530字 24.6% ・形声 1312字 61.4% ・仮借 13字 0.6% ・転注 ?文字(定義がハッキリせず不明とのこと) これによると、形声文字が群を抜いています。 まさに、今回私が部首を用いて考えたいと思っているところに合致していると言えます。 ----- 1) 漢字の分類(象形、指事、会意、形声、仮借)と音符  山本...

Method①: 部首とは何か。何が部首か。

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部首とは、「全ての漢字に一つの部首が割振られる」とあります。 この一文は二つの要点を示しています。 ・全ての漢字が必ず部首を要すること ・部首は一つの漢字に一つであること この二つが満たされることによって、 漢字は部首によって分類することが可能になります。 部首とは別に、漢字の構成を表す言葉として、 偏旁という言葉があり、読んで字の如く、 漢字の「偏(へん)」と「旁(つくり)」を表しています。 更に表現はないのかと調べて見たところ、 次の7つに分類できるようです。 偏(へん):左側に位置する 旁(つくり):右側に位置する 冠(かんむり):上側に位置する 脚(あし):下側に位置する 構(かまえ):外側に囲むように位置する 垂(たれ):上部から左側を覆うように位置する 繞(にょう):左側から下側をとりまいて位置する これは、厳密には部首のように 対象を特定・限定できるものでは内容ですが、 「漢字」というものが如何に構成によって成り立っているか、 ということを表現しているとも言えます。

Key word: 部首について

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前回のブログから、いきなりIntroductionを書くのは難しいことがわかりました。 これからはkey wordを提示することで書き進めていくことにします。 今回は、「漢字の部首」について考えてみます。 「亻(にんべん)」「刂(りっとう)」「灬(れんが)」などのことですが、 辞書(広辞苑第五版(岩波書店))によると次のように載っています。 ----- ぶ - しゅ【部首】 (漢字を分類した各部の冒頭の文字の意) 漢字の字書において、漢字を字画構成の上から分類配列する場合、 その基準となる各部の共通する構成部分。 「流」「浄」などの字は、部首「水」に属する類。 ----- 私の故郷には、鯉(コイ)を食べる文化があります。 正月の時などは、調理された鯉を鯉屋さんに買いに行きます。 私が小学生の頃、そのお店の壁には「魚偏」の漢字が、 びっしりと書かれた額が飾ってありました。 出来上がってくるまでの時間、 それぞれの漢字が何て読むのかを、当てっこしていた記憶があります。 先日、ウェブのニュースを読んでいた際に、 たくさんの「金偏」が付いた漢字が書かれている記事がありました。 鏨や鋸など、読むことはできるが、書くことはできないような漢字が 多数出てきていました。 言葉・漢字が数がたくさんある、ということは、 それだけ分類しなければならないということです。 つまり、そこには人の生活の有り様との関係があるのではないかと感じました。 部首に着目し、漢字を整理することで、 見えてくるものを明らかにしてみます。