2010年7月15日木曜日

『命と向き合うデザイン』 

 designの意味



デザインについて概要を述べます.まず,designという単語について詳説します.この語はラテン語の「designare」を語源として持っています.designareがdo signとなり,それがdesignへと変化しました.つまり,designare = do signとは「目印を付ける」という意味です.ここから,現在の工業製品において一般的に用いられるデザインの意味が生まれました.一つはつくる対象物を取り巻くあらゆる要素・要因を考える「計画・企画・設計」であり,もう一方は,つくる対象物そのものの要素・要因を考える「意匠・装飾・演出」です.ここで現代の辞書による説明を引用してみます.まず,The Concise Oxford Dictionary - Tenth Edition (Oxford University Press 1999)によるとdesignとは以下のように定義されています.
[n.] 1. a plan or drawing produced to show the look and function or workings of some thing before it is built or made. -> the art or action of conceiving of and producing such a plan or drawing. -> purpose or planning that exists behind an action or object. 2. a decorative pattern.
[v.] decide upon the look and functioning of (something), especially by making a detailed drawing of it. -> do or plan (something) with a specific purpose in mind.
また同様に,広辞苑第五版(岩波書店)ではデザインは以下のように定義されています.
①下絵。素描。図案。
②意匠計画。生活に必要な製品を製作するにあたり、その材質・機能および美的造形性などの諸要素と、技術・生産・消費面からの各種の要求を検討・調整する総合的造形計画。
何れも「計画・企画・設計」と「意匠・装飾・演出」という二つの意味に集約できますが,「意匠・装飾・演出」の意味のみが,単体として用いられることもあるという点は注意しなければいけません.私は,あくまでも語源に基づき「計画・企画・設計」と「意匠・装飾・演出」の双方を兼ね備えていることがデザインの必須の要件であると考える立場を取ります.もう一点,留意すべきこととして,日英の辞書による定義には「生産」や「製品」・「消費」といった意味が共通して認められることが挙げられます.これは,デザインによって得られる物品は,芸術品や工芸品のような制作行程ではなく,管理・量産を目的とした製造工程を経る「製品」または「商品」である,ということを意味しています.つまり,デザインとは営為を目的とした行為です.

・Kazuo Kawasaki: Design Language. AXIS. Vol. 111. 2004.
・The Concise Oxford Dictionary - Tenth Edition
 (Oxford University Press 1999)
・広辞苑第五版(岩波書店)