『命と向き合うデザイン』 

 産業とデザイン−1


産業または産業化におけるデザインの関わりを考える上で,財団法人日本産業デザイン振興会の存在は欠かすことができない.この機関によって運営されている制度が,日本にはグッドデザイン賞というデザイン評価・推奨制度である.1957年に当時の通商産業省によって創立された「グッドデザイン商品選定制度」が母体となっている.グッドデザイン商品選定制度の発足当初は,デザインという概念はおろか言葉すら一般には知られていなかったが,産業と生活の発展のため政策的に制度化された.対象分野は,消費財分野から端を発し,生産財・公共財分野,工業製品分野,建築環境分野,コミュニケーション分野,先端的技術分野での実験的デザイン,デザインビジネスモデルまで,総合的・学際的なデザイン評価制度に成長した.この制度の目的は「デザインを通じ生活のクオリティアップと産業の発展を同時に導くこと」である.生活と産業をより良い方向に導いていくために,デザインはどのような働きを担えば良いかという視点から審査される.審査基準の中心は以下の3点である.1)良いデザインであるか(グッドデザイン商品、建築・環境などに求められる基本的要素).2)優れたデザインであるか(商品、建築・環境などの特に優れた点を明らかにするポイント).3)未来を拓くデザインであるか(デザインが生活・産業・社会の未来に向けて積極的に取り組んでいることを評価するポイント).審査員個人の主観による評価を,主に商品カテゴリー毎にグループ化されている審査団をもって客観化し,さらに部門長審査による再確認などによって客観化を行い.最終的にはこれを制度の説明責任として情報開示を行う.こういった過程を経て,最終的に受賞商品が決定される.産業との関わりを明確にするために,3つの評価基準を詳説し,さらにもう一つの指標として,「性能性・効能性・機能性」を考える.

・グッドデザインアワード・イヤーブック GOOD DESIGN〈2003‐2004〉, 日本産業デザイン振興会, 2004
・グッドデザインアワード・イヤーブック GOOD DESIGN〈2002‐2003〉, 日本産業デザイン振興会, 2003

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