『命と向き合うデザイン』 

 背景−5


現状を踏まえ,再生医療に関する医療機器や医薬品を,積極的にかつ速やかに産業化する必要があります.西洋医学の歴史を見る限り,医学と工学の歴史は常に相補しながら成長してきました.結果,医工学という領域が生まれ,医学として基礎研究から知見を集約し,工学としてそれらを創造してきました.しかし,医工学という領域はあくまでも医学+工学という側面をぬぐい去ることができず,領域の融和には至っていないと考えます.その原因の一つとして産業化を挙げることができます.工学は産業化には欠かすことができない領域ですが,すべての工学的研究が産業化できるわけではなく,そもそも産業化することが目的ではない研究も多くあります.しかし,医工学として目指すものが「医学」機器ではなく「医療」機器である以上,臨床の治療に用いられる機器であり,産業化することは必須の要件です.医療機器や医薬品を産業化する場合,そこに必要なものは製品または商品です.工学的に何かをただ「つくる」ことと,製品化・商品化することは異なります.そのためにはモノの持つ製品性と商品性を正確に設定する必要があり,その領域を包括し,工学とともに産業に寄与してきたのがデザインです.

・社団法人日本生体医工学会(旧:日本エム・イー学会)とはhttp://www.asas.or.jp/jsmbe/info/outline.html
・グッドデザインアワード・イヤーブック GOOD DESIGN〈2003‐2004〉, 日本産業デザイン振興会, 2004

このブログの人気の投稿

『命と向き合うデザイン』 

 "形而上と形而下"

風で飛ばない秋桜

『命と向き合うデザイン』 

 新・デザインについて−4