2010年8月29日日曜日

『命と向き合うデザイン』 

 新・再生医学について−8



細胞を培養する場合、組織から目的の細胞を単離しなければいけません。古くからある方法としては、対象となる細胞の感受性に応じて試薬の種類や量などの反応条件を制御し、細胞間の接着を分離していくものがあります。その際にタンパク質分解酵素であるディスパーゼなどが主に用いられます。しかし、このような方法では制度を95%以上にあげることは容易ではないため、機器を使う方法として、FACS(Fluorescence activated cell sorting)を用いる方法があります。機器は主にアナライザー(各パラメータ解析)とセルソーター(細胞分主機能)から構成されています。まず、細胞を蛍光色素標識抗体で染色し、その細胞を0ないし1個だけ含む液滴が、レーザー光を通過する際に瞬時に蛍光を測定し信号処理するというものです。FACSでは1秒間あたり最大で5000細胞程度処理でき、研究用の機器としては有効です。ただし、臨床用としては機器内に細胞の流路があるため、コンタミネーション(汚染)の恐れがあります。生体から単離した細胞は、次に適切な成分組成を有する培地によって培養されます。分化細胞である神経細胞や心筋細胞、肝実質細胞などは増殖能を示しませんが、組織の多くは未分化な幹細胞・前駆細胞を含んでいるためこれらを使い増殖することができます。培養過程は初期培養と経代培養に分けられ、生体から単離後、直後の培養を初代培養と呼び、以降、培養皿へ植え次いでいくものを経代培養と呼びます。一般的に血球以外の細胞は基質接着性であるため、適切な細胞接着因子を培養皿に塗布するか、培地に添加する必要があります。培地に使用される血清(ウシ胎仔血清など)はフィブロネクチンやビトロネクチンなどといった細胞接着タンパクを多量に含んでいます。多くの細胞は培養皿上で増殖しますが、互いが近接するようになると増殖が停止します。動物細胞の培地には次の物質が含まれます。栄養素:グルコース・アミノ酸・ビタミン・無機塩類。pH安定剤:重曹・有機塩類。その他増殖・分化を維持するため:細胞成長因子。これらを含む血清を5%~10%添加します。生成した化学薬品および組み換えタンパク質のみで調整された培地を完全合成培地と呼び、安全かつ再現性の高い再生医学には完全合成培地は必須です。これらを培養容器に入れて実験を行いますが、近年はプラスチック製の培養容器が多く用いられています。フタができる皿状をしており、底面の直径が35mmから100mm程度まで選択できるものや、スクリュータイプのフタがついたフラスコ型と呼ばれているもの、フラスコの内部が積層になっており、設置面積に対して多量の細胞を培養できるものなど数種類があります。

・中辻憲夫, 中内啓光: 再生医療の最前線2010, 羊土社, 2010
・立石哲也, 田中順三: 図解 再生医療工学, 工業調査会, 2004