2010年9月1日水曜日

『命と向き合うデザイン』 

 新・再生医学について−11



日本では医薬品および医療機器としての承認を得るため、薬事法に則った治験を行い、その有効性と安全性を確認する必要があります。医学において、人を対象とした介入研究は一般的に臨床試験と呼ばれ、その中でも新薬の承認などのために企業が行う臨床試験を治験と呼びます。薬事法の第2条第16項には「承認申請において提出すべき資料のうち、臨床試験の使用成績に関する資料の収集を目的とする試験」と規定されています。2002年に薬事法が改正、2003年より試行され、医師・医療機関主導による治験が行いやすくなったと言われています。未承認の医薬品・医療機器を適応する方法としては、医師の裁量の下で行われる臨床研究もあり、これは薬事法に則る必要はありません。2009年における世界の治験状況を見ると、再生医療が広範な疾患に適応されており、40社程度の企業から100件程度の治験が実施されています。実施件数は増加していますが、必ずしも好成績を収めているわけではありません。クローン病に対する骨髄由来間葉系幹細胞製剤の治験は中止になりました。その中でも、Geron社(米国カリフォルニア州)は、FDAに治験薬申請していた「ヒトES細胞由来オリゴデンドロサイト前駆細胞 "GRNOPCI" を急性脊髄損傷患者に異所高治療する治験」の承認を獲得し、ヒトES細胞由来細胞を用いたPhase 1臨床研究開始が決定しました。技術の未成熟さやビジネスリスクの高さから、新薬開発はベンチャー企業が行う場合が多いです。独立行政法人医薬品医療機器総合機構によると新薬の審査期間は米国で平均10ヶ月であるのに対し、日本では平均22ヶ月を必要としています。ベンチャー企業は財務体質が脆弱である場合が多く、審査期間が長期におよぶ場合、企業を維持していくことが困難です。しかし、細胞を利用した生物製剤は、ウイルスの混入による薬害問題が懸念され、承認には慎重にならざるを得ないという現実があります。

・神山祥子: 医学のあゆみ, 229, 914-919, 2009
・小清水右一: 医学のあゆみ, 920, 920-924, 2009
・読売新聞: 2009年11月1日, 朝刊, サイエンス蘭
・独立行政法人医薬品医療機器総合機構: 第2期中期計画に向けた論点について<審査等業務・安全対策業務関係>, 2009