2010年9月10日金曜日

『命と向き合うデザイン』 

 新・細胞シート工学−8



心臓は全ての器官に血液を送り込むポンプです。その対象にはもちろん心臓も含まれます。心臓の内側に常に大量の血液が蓄えられていることを考えれば、そこから酸素や養分を摂取することが最も効率が良いように思えますが、ヒトの心臓はそのようにはできていません。は虫類や両生類では心臓の内側表面を使って血液から直接酸素を取り入れることができるものがいます。ヒトとの大きな違いは姿勢です。ヒトの姿勢は基本的に上体が起き上がっています。そのため、脳などの器官は心臓よりも上部に位置するため、心臓はその位置まで血液を送らなければなりません。もし、心臓の内壁に酸素や養分を吸収するための孔が存在すると、収縮期に十分な血流速度を得ることが難しくなります。そのため、ヒトの心臓は進化の過程で他の方法で血液から酸素や養分を摂取するようになりました。それが冠状動脈と呼ばれている血管であり、大動脈の付け根部分から心臓の表層に張り巡らされています。太さは2mm程度と細く、流量は血液全体の約5%程度です。しかし、心臓が消費する酸素量は全身の約20%にあたり、身体に取り込まれる酸素の約5分の1が心臓を動かすためだけに使用されます。

・南淵 明宏, 心臓は語る, PHP研究所
・小柳 仁, 心臓にいい話, 新潮社
・磯村 正, 治せない心臓はない, 講談社
・桜井靖久: 医用工学MEの基礎と応用, 共立出版, 1980