『命と向き合うデザイン』 

 新・人工心臓−14




これらは症状の程度による分類ですが、ここで人工心臓との関係を考えてみます。現行の人工心臓は各要素を体内と体外で分割して配置され、体外に設置される要素も、基本的には常に携帯しなければいけません。その点を考慮しながら現在開発が進められている各人工心臓を見てみると、例えばDuraHeartなどは肩から鞄を一つさげるだけで移動が行えますし、EVAHEARTも小型のカートを引いて移動すれば良いですが、国立循環器病センター型はポンプ自体が体外にぶら下がっている状態であり、すべての要素を持って移動することは容易ではありません。これらをICIDHやNYHAと照らし合わせて見ると、DuraHeartやEVAHEARTは社会的不利=NYHA Ⅱ度に当てはめることができると考えられますが、国立循環器病センター型は機能障害=NYHA Ⅳ度に当てはまると言えます。つまり、人工心臓は生命維持が目的ではありますが、その先にある患者の生活を維持することが最終的な目標なのだと言えます。その視点で見れば、DuraHeartは移動が難しくないと表現しましたが、何も持たずに出かけられるに越したことはなく、現在最も優れた製品であっても課題は残っていると言えます。

独立行政法人国際協力機構 課題別指針「障害者支援」, 2009

このブログの人気の投稿

『命と向き合うデザイン』 

 "形而上と形而下"

Method: IMRADとは何か。何がIMRADか。

風で飛ばない秋桜