2010年9月29日水曜日

『命と向き合うデザイン』 

 細胞シートによる治療−1



人工物としての人工心臓埋込術について確認してきましたが、ここからは細胞シート工学を用いた心臓の治療について詳説します。現在、症例数はまだ少なく、治療方法が完全に決定しているわけではありません。また、再生医療の特徴である患者から細胞を採取するという点が最もばらつきがあるため、かかる時間なども個人差が生じやすいと見られています。おおよその流れは以下の通りです。まず、局所麻酔または全身麻酔のもと、下肢、主に大腿部から10g程度の筋肉を採取します。筋肉組織から筋芽細胞を単離し、およそ4週間かけて500平方cmのフラスコ40個分まで培養します。この時点で培養ができていない、または培養量が既定値に達していない場合は、もう一度筋肉採取から行いますが、2回採取を行ってもシートが作成できない場合は中止となります。培養は温度37℃、湿度100%、二酸化炭素濃度5%に設定されたインキュベータ内で行われます。そして、培養した細胞を集め、直径100mmの培養皿で25枚分の筋芽細胞シートを作成し、手術までの間、同様の環境で保管します。その後、開胸手術を行い、細胞シートを移植する、というのが一連の流れです。現在は、手術前・手術直後・2週間後・4週間後・12週間後・24週間後と、計6回の検査と観察を行い評価しています。

・大阪大学医学部附属病院: ヒト幹細胞臨床研究実施計画書の修正について, 第51回科学技術部会資料, 2009