『命と向き合うデザイン』 

 新・デザインについて−3


次にデザインを歴史という軸に沿って見てみます。ここでは、産業革命が近代デザインの起源であるとして論を展開します。デザインの起源をどこに設定するかは諸説あり、デザイン対象によって変わる場合もあります。例えば、ヒトまたは動物が道具を使用した時からデザインはあったという説もあります。しかし、この場合、道具をつくり出す行為をデザインと呼んだとしても、それは営為とは言えず、目の前にある問題を解決するための手段としてのみ行われていると言えます。一方、産業革命期におけるデザインは、工業化の流れの中で、デザインもまた、従来の職人の手による造形から、製造方法・生産方法を意識したものへと変革していきました。これは商品または製品として、販売など社会的な流通を意識した行為であると言え、営為であると判断できます。よって、ここでは産業革命をその起源とし、現代までの流れを確認してみます。そもそも、モノやコトの始まりを規定し、そこからそれらのモノ・コトを定義することは、どこに「視座」を構え、どの「視点」から、どの「視線」をもって、どこまでの「視野」を対象とするのか、ということを明確にすることが必要です。ここでは産業と言う視座と視点をもって主に製品・商品を視野に入れた視線でもってデザインを読み解いて行きます。

・Alvin Toffler; The Third Wave, Bantam, 1984
・Nikolaus Pevsner; Pioneers of Modern Design, From William Morris to Walter Gropius; Revised and Expanded Edition, Introduction by Richard Weston

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