『memorandum』
槍鉋
宮大工と言えば、と言うわけではありませんが、
槍鉋という大工道具があるそうです。
あったそうです、の方が正確かも知れません。
現在ではほとんど使われていないとのことですが、
同時に、現代ではほとんどつくられていないそうです。
外観は槍のように、
棒状の木材の先端に槍のような形態の刃が付いています。
刃の部分が反り返っているため、
その反りを利用して木材の表面を削っていきます。
大分古くからある道具らしく、
最も古いモノは7世紀頃のモノが出土しているそうです。
お隣韓国でも類似にモノが発掘されているとか。
ただ、あまり他に類似したモノがないらしく、
もしかしたらこの辺独自の文化かも、とのことです。
表面に特徴的な目ができるため、
通常の台鉋とは異なり、
表面を均すためだけに使われるわけではなかったようです。
木の繊維を傷めずに滑らかに仕上げることができるらしく、
耐久性も増す、とか。
いずれにしてもつくり手もつかい手も、
文字通り匠の業が必要な物品のようです。
ちょっと気になったのは、
「鉋」という漢字。
『漢字源』(学習研究社/藤堂明保)によると、
語源は「金+音符包(外側をつつむ、外側をこする)」とのこと。
一般的な台鉋を思い描けば何も疑問を抱きませんが、
今回取り上げた槍鉋に関して言えば、
・・・包む???となります。
もちろん、意味としては「こする」というものもあるので、
そちらが採用されたのだとは思いますが。
どのような流れから槍鉋という道具が生まれ、
鉋という名前を冠することになったのか、
そう考えていると不思議な感じがします。