『命と向き合うデザイン』
「手械」から
「械」とは『漢字源』(学習研究社/藤堂明保)によると、
「罪人の手足に嵌めて行動の自由を奪って戒める刑具」。
戒は「戈+両手」の会意文字で、
両手で武器を持った状態です。
「木+音符戒」より、手足を戒める木製の刑具となります。
「幸」
「報」の字の部首である「幸」も、
実は同様の意味から生まれています。
「手に嵌める手械を描いたもので、元々、手械の意。
手械を嵌められる危険を、危うく逃れたこと。
幸とは、元々、刑や型と同形の言葉で、
報(仕返しの罰)や執(捕まえる)の字に含まれる。
幸福の幸は、その範囲がやや広がったもの」
「刑」とは、
「左側のかたちは元々、井。
井(ケイ)は、四角い枠を示す。
刑は「刀+音符井」。
枠の中へ閉じ込める意を含み、
刀で体刑を加えて懲らしめる意を示す。」
「型」とは、
「刑から、「土+音符刑」で、
砂や粘土でつくった鋳型のこと。」
「幸」という漢字の、
元々の意味が後ろ向きなのは悲しいですが、
実際、では何が幸せなのか、
といわれれば難しいところです。
冒頭に戻って「械」の字ですが、
こちらは勿論「機械」の械です。
機械は、人の様々な行動を
助けてくれると思われていますが、
実際は手械になっているのかもしれません。
私たちは「機器」という言葉を使います。