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『命と向き合うデザイン』 

 細胞シート工学−1

生分解性高分子などによる足場を用いず,細胞が互いに接着することでシート状になっているものを細胞シートと呼びます.細胞シートの作成には温度応答性高分子であるN-イソプロピルアクリルアミド(PIPAAm)を表面に修飾した培養皿が用いられます.PIPAAmは水中で相転移温度(32℃)を持ち,それ以上で高分子鎖が脱水和し,イソプロピル基間の疎水性相互作用により凝集して沈殿します(疎水性)が,32℃以下では水和し溶解します(親水性).これにより温度変化によって修飾表面のぬれ性を制御可能になります.細胞の培養条件である37℃では表面は疎水性を示すため細胞の接着・伸展は良好に行われ.これを表面温度を32℃以下に下げることで表面が親水化し、細胞が自発的に脱着します.多くの細胞接着にはアミノ酸配列(アルギニン−グリシン−アスパラギン酸;RGD)が密接に関係していることが知られています.このRGDとPIPAAmを培養皿表面に修飾することで,培養から回収までを高効率で行える培養皿の研究が行われました.原理を考えます.温度応答性高分子は相転移温度以上で脱水和・収縮するため,RGDは表面に露出します.この時、細胞は細胞膜タンパク質であるインテグリンを介してRGDを認識し,培養皿に接着・伸展できます.一方、相転移温度以下では高分子鎖は水和・伸長するため,RGDは高分子層の中に埋もれ、細胞が認識しにくくなり結合が弱まります.こういった細胞接着に関するリガンド−レセプター間の作用は,抗原−抗体や酵素−基質間などのように体内でもさまざまな形で見られます. ・阿形清和他: 再生医療生物学, 現代生物化学入門7, 岩波書店, 2009 ・中辻憲夫, 中内啓光: 再生医療の最前線2010, 羊土社, 2010 ・立石哲也, 田中順三: 図解 再生医療工学, 工業調査会, 2004 ・Langer, R. & Vacanti, J. P. Science, 260 920-926, 1993 ・Miyagawa, S. et al. Transplantation, 80 1586-1595,2005 ・Sekine, H. et al. Circulation, 118 S145-152, 2008

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 再生医学−8

細胞を培養する場合,組織から目的の細胞を単離しなければいけません.古くからある方法としては,対象となる細胞の感受性に応じて試薬の種類や量などの反応条件を制御し,細胞間の接着を分離していくものがあります.その際に,タンパク質分解酵素であるディスパーゼなどが主に用いられます.しかし,このような方法では制度を95%以上にあげることは容易ではないため,機器を使う方法として,FACS(Fluorescence activated cell sorting)を用いる方法があります.機器は主にアナライザー(各パラメータ解析)とセルソーター(細胞分主機能)から構成されています.まず,細胞を蛍光色素標識抗体で染色し,その細胞を0ないし1個だけ含む液滴が,レーザー光を通過する際に瞬時に蛍光を測定し信号処理するというものです.FACSでは1秒間あたり最大で5000細胞程度処理でき,研究用の機器としては有効です.ただし,臨床用としては機器内に細胞の流路があるため,コンタミネーション(汚染)の恐れがあります.次に,生体から単離した細胞は,適切な成分組成を有する培地によって培養することができます.分化細胞である神経細胞や心筋細胞,肝実質細胞などは増殖能を示しませんが,組織の多くは未分化な幹細胞・前駆細胞を含んでいるためこれらを使い増殖することができます.培養過程は初期培養と経代培養に分けられ,生体から単離後,直後の培養を初代培養と呼び,以降,培養皿へ植え次いでいくものを経代培養と呼びます.一般的に血球以外の細胞は基質接着性であるため,適切な細胞接着因子を培養皿に塗布するか,培地に添加する必要です.培地に使用される血清(ウシ胎仔血清など)はフィブロネクチンやビトロネクチンなどといった細胞接着タンパクを多量に含んでいます.多くの細胞は培養皿上で増殖しますが,互いが近接するようになると増殖が停止します.動物細胞の培地には次の物質が含まれます.栄養素:グルコース・アミノ酸・ビタミン・無機塩類.pH安定剤:重曹・有機塩類.その他増殖・分化を維持するため:細胞成長因子.これらを含む血清を5%~10%添加します.生成した化学薬品および組み換えタンパク質のみで調整された培地を完全合成培地と呼び,安全かつ再現性の高い再生医学には完全合成培地は必須です.これらを培養容器に入れて実験を行いますが,近年はプラスチッ

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 再生医学−7

細胞の培養は,当初は重層化した表皮組織を,培養皿上に作成し,培養表皮として皮膚の治療に用いられた(1975年に.H.Greenらによって).この際に,培養表皮はディスパーゼと呼ばれるタンパク質分解酵素を用いて培養皿から回収され,皮膚損傷部位に移植された.1980年代になり,培養真皮,培養全層皮膚,培養血管などを作成する技術が開発されると,これらの技術は総称して組織工学と呼ばれるようになった.そして,培養する細胞そのものの研究が進むと,次に,生分解性高分子による足場(スキャフォールド)の研究が始まった.1993年,Langer, R.とVacanti, J.P.らによる共著「Tissue Engineering」がScienceに掲載されたことを皮切りに,組織工学の研究が世界的に進められるようになる.ネズミの背についたヒトの耳の写真は広くメディアに取り上げられた.これは,生分解性高分子の足場をヒトの耳の形に成形し,軟骨細胞を播種・培養した後に生体に移植したものである.生分解性高分子とは,生体吸収性とも呼ばれ,体内に埋め込み後,一定の半減期をもって体内で分解し,吸収または排泄される素材のことである.一般には手術時の縫合糸や薬物担体としてのカプセルとして使用されている.こういった組織工学的手法を用いる利点は,細胞懸濁液の注入で問題になっていた細胞の流出や壊死による細胞の損失を克服できることであり,先天性疾患などの欠損部位に対する治療が可能であることも優位な点である.しかし実際,足場の内部へ十分な細胞数を播種することは容易ではなく,移植後の足場が分解した後の空間は細胞成分が少なく,大量の線維性結合組織で埋められてしまう問題がある.つまり,生分解性高分子を足場として用いる場合,生体側でつくられる細胞外マトリックスが足場と置換される形で形成されれば,形づくった状態で再生されるが,分解速度と生成速度がずれると形が崩れる場合がある.このため,軟骨や心臓弁など細胞がまばらな組織の作成は可能性がうかがえるが,細胞が高密度かつ複雑な構造と機能をもつ組織を作製するには現状の技術では難しいと言える. ・阿形清和他: 再生医療生物学, 現代生物化学入門7, 岩波書店, 2009 ・中辻憲夫, 中内啓光: 再生医療の最前線2010, 羊土社, 2010 ・立石哲也, 田中順三: 図解 再

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 再生医学−6

再生医学は幹細胞生物学である基礎生物医学研究と,生体組織工学で成り立っています.後者の組織工学は1980年代後半の米国で提唱されましたが,元になった動物細胞培養に関する研究は19世紀の初頭からあったものです.ここで言う組織とは「分子から個体にいたる生物の階層性の中で細胞と臓器の間に位置する.細胞ー細胞間接着により連結した複数の細胞と細胞間隙を埋める固相成分である細胞外マトリックスからなる.」と言われています.骨や軟骨,真皮などは,そのほとんどが細胞外マトリックスによって形づくられています.一方,心臓や肝臓といった実質臓器は,細胞を主成分とし,細胞外マトリックスは細胞間の微細な間隙にのみ含まれる程度です.元々,細胞を用いた治療は注射針を用いて細胞懸濁液を注入する方法がとられていました.今でも一般的に残っているものとして,輸血が挙げられます.輸血は,組織構造をもたない末梢血の血管内への移植と言えるでしょう.細胞移植としては,骨髄中の造血幹細胞移植をはじめとして間葉系幹細胞移植,末梢血単核球細胞移植,自己骨格筋筋芽細胞移植などが臨床応用されています.しかし,肝硬変や重症心不全といった正常組織構造が3次元的に損失している疾患に対して,筋芽細胞の細胞懸濁液を注射した場合,移植率はわずか10%程度でした.また,移植した細胞が正着せず,目的の場所に固定しなかった場合,細胞懸濁液は血管を伝い,脳梗塞などの合併症を引き起こす危険もありました.例え正着しても,縞状になり,3次元的な臓器を回復するのは困難でした.さらに,細胞を心臓に移植する場合,注射針によって心筋を侵襲することになります.これによって不整脈などが発生しました.これらの問題を解決するため,組織を再構築するための新しい細胞培養方法が考え出されました. ・阿形清和他: 再生医療生物学, 現代生物化学入門7, 岩波書店, 2009 ・中辻憲夫, 中内啓光: 再生医療の最前線2010, 羊土社, 2010 ・立石哲也, 田中順三: 図解 再生医療工学, 工業調査会, 2004 ・Langer, R. & Vacanti, J. P. Science, 260 920-926, 1993

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 産業革命とdesign−3

バウハウスは1919年に開校し,1933年にナチスによって閉鎖させるまでの14年間,主に「教育運動・造形活動・工房活動」を3本の軸として進められたデザイン活動である.設立の際にあった構想は「工芸や芸術を統合するものとして総合芸術」である.産業革命から続いているデザインの歴史において,その一つの到達点ではあるが,様々な要素を集約した部分が強い.初代校長のヴァルター・グロピウスは,ドイツ工作連盟を起こしたヘルマン・ムテジウスの弟子にあたる.そして,バウハウスを創設する切っ掛けを与えたのはアール・ヌーヴォーの初期に活躍したヴァン・デ・ヴェルデである.ドイツ工作連盟とアール・ヌーヴォーは,造形的な要素や規格化・標準化という点において対立した思想ではあったが,ヴァン・デ・ヴェルデ自身,ドイツ工作連盟としても活動した時期があり,当時の二つの思想がグロピウスに影響を与え,バウハウス創設に至ったと言える.一般的には機能主義・合理主義が強く,製品設計・生産管理などにつながるデザインの基礎がつくられたと言える.それまでに様々な物品をシステムとして管理する発想は既に始まっていたが,バウハウスでは家具から室内空間・建築・集合住宅・都市というところまで,全てを一貫したシステムと見なし,統合されていった.これらの造形活動はもちろんバウハウスの特徴だが,もう一つ重要な要素として教育が挙げられる.従来,特に技術に関することは,師弟関係によって師から弟子へと受け継がれていった.しかし,バウハウスではその伝授を教育という方法論で実行した.そのためには従来はデザイナー個人の思いや考えなどでつくられたいた作品を,理論を持って説明し,製品や商品とする必要があった.つまり,教える側の人間は,各自の考えや実現してきた作品を,論として一般に伝達できる状態にする必要があったということである.結果的に,デザイナーとして当時から現在において優れた評価を受けたものであっても,教育内容に思想を強く持ち込んだために教鞭を執ることを許されなくなった者もいた.一方で,バウハウスで教育を受けた者がデザイナーとなり,再び今度は,教育者としてバウハウスに戻ってくるということも頻繁に行われていた.歴史の中ではたった14年間という限られた期間ではあったが,そこで培われたデザイン教育・デザイナー教育という発想は確実に世界各地へと点在してい

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 Less is more

Ludwig Mies van der Rohe is one of the most important architects. He left the famous aphorisms "less is more" and "God is in the details". Less is more is motto of the minimalism. The word described their aesthetic tactic of arranging the numerous necessary components of a building to create an impression of extreme simplicity. But, the aphorism was not made by him. The term was made by Christoph Martin Wieland. He is a German poet, dramatist and translator. "Less is more" is a word being quoted by a lot of people now. The next aphorism is "God is in the details". Although many times atribuited to Mies van der Rohe, Gustave Flaubert, and many others, it is believed to be said by german Art Historian and Cultural Theorist, Aby Warburg. Aby Warburg, German art historian, notices of seminar at Hamburg University, Hamburg, Germany, and November 11, 1925. This is documented in papers at the Warburg Institute at the University of London, described in

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 再生医学−5

具体的に幹細胞を用いるとどのようなことができるのかを見てみましょう.脊椎動物は受精後,卵割を繰り返すことで細胞数を増やし胞胚期に達します.この時の胚の一部につくられるのが未分化細胞塊であり,それを培養したものが胚性幹細胞,つまりES細胞です.両生類は受精後9時間で胞胚期を迎え,未分化細胞ができます.1)未分化細胞を取り出し,2)カルシウムをのぞいて,3)細胞をばらばらにします.4)100mg/mlのアクチビンを加え,5)1時間処理し,6)再びカルシウムを加えて,7)凝集塊をつくります.8)3日後には拍動する心臓が生まれます.9)血清を加え,10)10日間培養すると,11)活動電位のある,1心室2心房の心臓ができます. ここで,改めて幹細胞を整理してみます.まず、幹細胞とは「異なる機能を持つ複数の細胞へ分化する能力(多能性)と,自己増殖を続ける能力(自己複製能)を持った未分化な細胞」と定義されています.さらに幹細胞は分化能力によって分類できます.まず、一個の細胞から身体を構成する全ての細胞に分化できるのは受精卵であり,全能性幹細胞と呼ばれます.これに対して,身体を構成する全ての細胞への分化能を持つが,一個の細胞単独では個体発生を起こせないものを多能性幹細胞と呼びます.ES細胞(embryonic stem cell)と呼ばれるものはこの多能性幹細胞の一種で,初期胚から樹立された胚性幹細胞です.さらに,2007年にヒトの皮膚由来線維芽細胞に多能性維持に関する4つの遺伝子を組み合わせて導入することで多能性を獲得した人工多能性幹細胞,iPS細胞(induced pluripotent stem cell)が樹立されました.ES細胞とiPS細胞の最も大きな違いは,iPS細胞が初期胚のような未分化な細胞ではなく,分化の進んだ細胞からでもリプログラミングを行うことで幹細胞としての機能を獲得している点です.現在の再生医学はこの二つの細胞によって牽引されている部分が少なくありません. ・阿形清和他: 再生医療生物学, 現代生物化学入門7, 岩波書店, 2009 ・田畑 泰彦: 再生医療のためのバイオマテリアル, コロナ社, 2006

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 再生医学−4

脊椎動物の中で最も高い再生能力をイモリは,尻尾や手足だけではなく、顎や脳、眼、心臓などの組織や臓器の一部を再生できる.このイモリに関する研究から,以下の2点が明らかになっている.1)多細胞生物の各細胞は,受精卵から分化した後も全ての遺伝子情報が保存されている.2)分化した細胞でもリプログラミング(殖細胞や体細胞など分化の進んだ細胞が多能性や全能性を再獲得すること)可能である.一度分化した細胞は脱分化を行い,元の形質を失った状態になる.そして目的の細胞へと改めて増殖・分化を行っていく.このことから脱分化した細胞も幹細胞様の性質を有している可能性があることが示唆されている.このように再生に用いられる細胞は「幹細胞由来」か「分化細胞由来」ということになるが,分化細胞の脱分化を幹細胞へのリプログラミングと考えると,結局は幹細胞由来と言える.ヒトのような多細胞生物の再生に関する治療を考える場合、細胞の分化状態をどのように制御するか,ということが極めて重要になってくる.リプログラミングは従来は核移植を行うことでしか実現できなかった.ここでiPS細胞を考えてみると,その作成に関して「転写因子の遺伝子発現を制御することで,細胞の分化状態を人為的にコントロールできることを初めて示した」という功績が大きいと言える.従来は核移植でしかリプログラミングできなかったことを,4つの遺伝子を操作するだけで可能にしたのである.このことから再生医療を実現していく上で重要なコトとして,1)細胞の分化状態を分子レベルで理解する.2)位置情報の制御が行える.の二つがある,とする論がある. ・阿形清和他: 再生医療生物学, 現代生物化学入門7, 岩波書店, 2009 ・田畑 泰彦: 再生医療のためのバイオマテリアル, コロナ社, 2006

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 再生医学−3

さらに再生の原理を詳細に観察してみます.生物が行っている再生の方法は2種類に分類され,それぞれを代表するような生物がいます.1)再生の種となる細胞である「幹細胞」を準備して,高い再生能力を発揮している生き物(プラナリアなど)=幹細胞利用.2)既存の細胞を一旦「リプログラミング」してから必要な細胞をつくって再生を実行している生き物(イモリなど)=細胞のリプログラミング利用(iPS細胞).細胞の中でも,最も様々なモノに分化できる細胞を有しているのは受精卵です.受精卵から分裂して色々な種類の機能に分化した細胞を分化細胞と呼びますが,受精卵はあらゆる種類の分化細胞を生みだすことができます.一般に多細胞生物は成長とともに細胞の数を増やし,個体として機能するために必要な種類の細胞をつくる必要があります.幹細胞¬はその特徴として,多分化能と自己増殖能を併せ持つため,多細胞生物の成長にとって必要なことを同時に行うことができます.しかし,幹細胞は分化するにしたがって,やがて全て分化細胞に変わり,成体になると幹細胞としての機能はほとんど失われ,一部の組織に組織幹細胞が残るのみになります.受精卵から分化するしばらくの間は全能性幹細胞の状態を維持したまま増殖します.この状態の細胞を胚から取り出し,全能性状態を維持したまま培養した細胞がES細胞です.さて,再生の研究においては,プラナリアの研究が盛んに行われます.プラナリアは無脊椎動物の中で最も高い再生能力を持つと言われているため,再生医学に関する研究対象としては最も適していると考えられるからです.その研究からプラナリアの再生メカニズムはおおよそ以下のような流れがあることがわかっています.1)傷口の修復.2)再生芽の形成.3)不足部分の先端の形成.4)頭から尾までの身体の領域性の再編成.5)必要な細胞の供給.ここで言う身体の領域性とは身体の位置情報のことです.多細胞生物が個体を形成する場合,まず,形成する場所の座標をつくり,その座標に沿って幹細胞を制御し,形と機能をつくりあげていく,というプロセスが存在します.無脊椎動物の代表はプラナリアでしたが,一方,脊椎動物の中で最も高い再生能力を持つ生物は,イモリです. ・阿形清和他: 再生医療生物学, 現代生物化学入門7, 岩波書店, 2009 ・筏義人: 再生医工学, 化学同人, 2001

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 心臓−3

筋肉を動作させるための電気信号は神経系を通って各筋肉に伝播される.神経系は中枢神経と末梢神経に大別される.この内,末梢神経とは中枢神経(脳と脊髄)以外の神経系を指し,さらに体性神経系と自律神経系に分類できる.体性神経系は身体の運動や知覚に関する情報のやり取りを行い,自律神経系は意志の支配を受けずに,臓器など身体の環境を維持するために用いられる.心臓は不随意筋であるため,自律神経によってその機能が調整されている.自律神経には自律神経中枢からの信号を伝える交感神経・副交感神経の二つがあるが,心臓は交感神経・副交感神経の両方によって相互に支配された二重支配の状態になっている.主に,交感神経は活動時(昼間)を,副交感神経は安静時(夜間)を管理している.激しい運動や,精神的な負荷を受けた際に拍動数が変化するのは,この神経系を介して情報が伝達されるためである.伝達された情報は受容体によって受け取られるが,交感神経の受容体にはα受容体とβ受容体の2種類があり,それらはさらにβ1,β2などのように細分化され,受容する情報が異なる.運動などによる拍動数の変化は,交感神経によって届けられた情報がβ受容体によって媒介されて拍動数の増加につながる.β受容体の中でもβ1受容体は,主に拍動数の増加や収縮力の増加を調整しており,総じて拍出量が増大する. ・南淵 明宏, 心臓は語る, PHP研究所 ・小柳 仁, 心臓にいい話, 新潮社 ・磯村 正, 治せない心臓はない, 講談社 ・長山 雅俊, 心臓が危ない, 祥伝社 ・東嶋 和子, よみがえる心臓―人工臓器と再生医療, オーム社 ・日本人工臓器学会, 人工臓器は、いま―暮らしのなかにある最先端医療の姿, はる書房

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 産業革命とdesign−2

大量生産による品質の低下を憂いた一部の人々が,手によるモノづくりの復興活動を開始します.それはアーツ・アンド・クラフツ運動と呼ばれ,活動時期は19世紀の後半から20世紀の初頭まででしたが,この活動が国際的に様々な活動を誘発することになります.中でも,フランスのパリを発祥とするアール・ヌーヴォーは1890年のパリ万国博覧会を切っ掛けに世界中に広まりました.手づくりを重要視しながらも,鉄やガラスといった当時の新素材の可能性を検討し,それぞれのデザイナーが新しい表現方法を模索しました.万国博覧会と並んで,写真の技術が一般化したことも,国際的な規模で活動が浸透した大きな理由の一つです.さらに時代が進むと,機械工業による安価な大量生産と,手づくりによる少量ですが丁寧な生産との,両方を重視する考え方が広がります.中でも,アーツ・アンド・クラフツ運動の思想を受け継ぎつつ,後のバウハウスへとつながるドイツ工作連盟は「大量生産するためのモノの規格化・標準化」という考えを強く推しだし,芸術と産業の統一という構想を持っていました.また,一方ロシアでは,ロシア・アヴァンギャルドが起こり,デザインと政治のつながりが明確になります.それはつまり,モノのデザインは生活様式・文化全体の変革へとつながり,結果的に政治・経済・社会全体に関わる,ということを初めて国家として意識した活動でした.プロパガンダ・アートと呼ばれるように,政治にも積極的にデザインが取り入れられました.製造面で意識されていたことは「使用と生産の両面から見た合理性」として標準化が強く押し出されます.そして一連の流れの一つの区切りとしてここでバウハウスが設立されます. ・アルビン・トフラー, 第三の波, 中公文庫 M 178-3, 中央公論新社 ・ニコラス ペヴスナー, モダン・デザインの展開―モリスからグロピウスまで, みすず書房 ・柏木 博, デザインの20世紀, NHKブックス, 日本放送出版協会

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 産業革命とdesign−1

産業革命を近代デザインの起源であるとする論があります.デザインの起源をどこに設定するかは諸説あり,デザイン対象によって変わる場合もあります.例えば,ヒトまたは動物が道具を使用した時からデザインはあったという説もあります.しかし,この場合は,道具をつくり出す行為が営為行為にはなっておらず,目の前にある問題を解決するための手段としてのみ行われています.では,営為を目的としてモノをつくることが一般化したのはいつか,ということが問題になります.そこで,ここでは産業革命をその起源として考えてみます. 産業革命とは,19世紀のイギリスから始まった,技術革新による産業・経済・社会構造の一連の変革を指す言葉です.技術の革新によって従来の手工業から機械工業へと変化した産業基盤によって,それまでに蓄積されていた資本を使い,農村で溢れた労働者を都市に引き入れました.結果として,主となっていた綿織物工業を中心に,それに関係する製造業・搬送業などあらゆる産業へ革新は波及しました.労働者階級人口が爆発的に増加し,産業資本家に次ぐ勢力となったため,経済・社会構造にまで変革が生まれました.やがて第1回ロンドン万国博覧会(1851年)を迎え,当時の先進国の多くに産業革命の波が押し寄せることになります.ここで着目すべきは,手工業から機械工業へと変化した,という技術的な部分です.製造の視点に立つと,産業革命以前の商品は職人の手によって一つ一つつくられていました.言い換えれば,職人がつくることができるということが商品の成立条件でした.しかし、産業革命以降は,機械によって一度に大量に製造できることが条件となります.この移行は当初は速やかにいかず,品質の悪い粗悪な商品が出回ることになりました.しかも,製造機の改良が進み品質が向上すると,今度は逆に,産業資本家が利潤を追い求めるために生産コストを下げ,安く質の悪い商品が大量に生産されることになったのです.また,労働条件の悪化に起因するヒューマンエラーによる品質低下も重なりました. ・アルビン・トフラー, 第三の波, 中公文庫 M 178-3, 中央公論新社 ・ニコラス ペヴスナー, モダン・デザインの展開―モリスからグロピウスまで, みすず書房 ・柏木 博, デザインの20世紀, NHKブックス, 日本放送出版協会

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 産業医学

産業革命は産業医学の発達にも寄与しています.産業革命時の劣悪な労働条件では,労働者は作業関連疾患と呼ばれる症状を患うことが多発しました.当時,労働者は都市に溢れていたため,担当業務を進めることに支障が発生した場合,即座にその労働者を交換するという方法が最も効率的でした.しかし,低賃金による長時間労働や児童労働など,労働問題の深刻化を受けて,ついに1833年に工場法が制定されます.これによって労働者の権利がある程度保証されるにいたり,彼らが業務を遂行するために必要最低限の環境を確保する必要性が生じました.そこで,作業関連疾患を予防することで健康を維持しようと考えたのが産業医学の始まりです.労働者を守るという視点ではなく,あくまでも産業資本家が損失を受けないことを目的としていましたが,疾患による解雇の可能性が減ったことと,最低限の健康を保証されたという点において,結果的には産業医学の発達は労働者の生活を守ることには役立ったと言えます. 産業革命を経て発達したこの学問領域は,1857年に生まれたエルゴノミクスという考え方に引き継がれます.元々は,労働の環境や機器をどのように設計すれば効果的に収益を上げることができるか,ということに注力された考え方でした.それが人間の身体的特性を把握し,疲労の軽減,動作効率の向上などにつながり,人間工学の根幹を担う柱の一つになったのです.一方,人間工学のもう一つの柱としてヒューマン・ファクターという考え方があります.これは第二次世界大戦時にアメリカで生まれた考え方で,飛行機のコックピットをどのように設計すればパイロットが操縦を間違わないか,安全に操作できるか,という実務が背景にありました.つまり,エルゴノミクスに比べ,認知特性など心理学の分野から人間工学に向かったと言えます.やがてマン・マシン・インターフェイスやユーザ・インターフェイスという考えにつながり,エルゴノミクスとヒューマン・ファクターの二つが組み合わさり人間工学という表現で表されることになります. ・人間中心設計(ISO13407対応)プロセスハンドブック ・伊藤 謙治, 人間工学ハンドブック, 朝倉書店, 2003 ・日本機械学会, HCDハンドブック 人間中心設計, 丸善, 2006

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 再生医学−2

再生医学は,元々,肝不全の子供達への移植肝臓不足を改善するため,肝細胞を増殖し,肝移植に利用したことに端を発しますが,その成長には大きくは二つの研究分野の進歩が関わっています.一つは基礎生物医学研究であり,そして,もう一方が上述した生体組織工学です.前者の目的は,幹細胞・細胞増殖因子・細胞外マトリックスの研究を通して,再生現象を正しく理解することです.特に近年になって,ヒトの組織・臓器中にも,高い増殖・分化能力を持つ幹細胞が存在していることがわかってきました.2004年に発見されて以来,積極的に研究されている胚性幹細胞(ES細胞)や,2006年に4遺伝子によって樹立することが明らかになり,以降,世界中で研究が活発化しているiPS細胞に関する研究もここに含まれます.後者の目的は,再生誘導の場を構築することです.バイオマテリアルと呼ばれる分野が研究の中心であり,生体安全性・生体適合性の高い素材の研究・開発が行われています.バイオマテリアルと一口にいってもその領域は非常に幅広いです.人工歯根などから人工関節,人工血管等まで生体に移植する材料全般を指す言葉として用いられいています.しかし,特に再生医学におけるバイオマテリアルとは細胞や組織の足場になる部分を指すことが多いようです. ここで,細胞が再生する原理を考えます.ある空間で細胞が生存していくためにはその周辺環境との関係が重要です.一般に細胞増殖因子・細胞外マトリックスと呼ばれているものが周辺環境を構築しています.また,これらの素材が細胞の増殖や分化を制御しています.よって,高い増殖能力を有する幹細胞があったとしても,周辺環境である細胞増殖因子などが適切な状態でない限り,細胞の再生は望めません.細胞が培養・分化しやすい足場をいかに構築するか,ということを研究するための分野として生体組織工学があります.つまり,高い増殖・分化能力を有する細胞そのものの研究と,細胞が成長するための環境の研究の両方が進歩することによって,再生医学は現実的な研究として成長し,再生医療として現場への応用が可能になります. ・筏義人: 患者のための再生医療, 米田出版, 2006 ・筏義人: 再生医工学, 化学同人, 2001 ・田畑 泰彦: 再生医療のためのバイオマテリアル, コロナ社, 2006 ・Takahashi K, Yaman

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 心臓−2

心臓は全ての器官に血液を送り込むポンプだが,そこには心臓も含まれます.心臓の内側には常に大量の血液が蓄えられていることを考えれば,そこから酸素や養分を摂取することが最も効率が良いように思えます.しかし,ヒトの心臓はそのようにはできていません.は虫類や両生類では心臓の内側表面を使って血液から直接酸素を取り入れることができます.ヒトとの大きな違いは姿勢です.ヒトの姿勢は基本的に上体が起き上がっています.そのため,脳などの器官は心臓よりも上部に位置するため,心臓はその位置まで血液を送らなければなりません.心臓内に酸素や養分を吸収するための孔が存在すると,収縮期に十分な血流速度を得ることが難しくなります.そのため,ヒトの心臓は進化の過程で他の方法で血液から酸素や養分を摂取するようになりました.それが冠状動脈と呼ばれている血管であり,大動脈の付け根部分から心臓の表層に張り巡らされています.太さは2mm程度と細く,流量は血液全体の約5%程度です.しかし,心臓が消費する酸素量は全身の約20%にあたり,5分の1の酸素が心臓を動かすためだけに使用されます.心臓を動作させている筋肉は心筋と呼ばれ,構築している細胞は心筋細胞と呼ばれています.心臓は連続的な心筋細胞の緊張と弛緩によって,全体として拍動運動を行っているように観察されます.あらゆる筋肉が,弱い電気信号によって収縮することは以前から知られていますが,心筋も同様に電気信号によって動作します.ただ,骨格筋などの随意筋とは異なり,全てが不随意筋でできているため,意識化で動作させることはできません.また,他の筋肉が神経繊維によって電気信号を伝達するのに対して,心筋は,特殊心筋によって伝達されます.心筋はこの特殊心筋と普通心筋の2種類が組み合わされています.特殊心筋は洞房結節・房室結節・ヒス束などと呼ばれ,大静脈との結合部近くにある洞房結節で発生した約50mA程度の電流が房室結節,ヒス束という順に伝達され,心臓全体が動作します.生まれた瞬間に,一番最初の電気信号がなぜ発生するのかは未だに解明されていません.また,一般的に身体的負荷や精神的負荷を受けると,「ドキドキ」という表現で表されるように,拍動数の増加が認識できるようになります.これは電気信号の発生速度が変化することによって,普段は意識されない拍動が容易に体感できる状態になったもので

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 心臓

心臓とは血液を送り出すポンプの役割を担う内臓器官です.その機能疾患による影響力が大きいことから,個体における重要性は脳と共によく知られています.また,活動の様子は触診によっても容易に確認でき,特に緊張などによる心拍数の増加が発生すると顕著になります.このように精神的な状態とも非常に関係性が強い臓器の一つです.ヒトの心臓は発生学の視点から見ると静脈の一種が変化したものと考えられており,2本の血管のみで構成されている非常に単純な構造をしています.心臓の役割の一つである血流生成は体内の全て器官へ血管を通して血液を送り込むことを目的としており,人体は運ばれてきた血液中の成分に含まれる酸素と栄養分を元に,成長・生成を行っています.血液量は個人差はあるが成人男性で平均5リットル程度であり,約50秒を掛けて体内を一周します.また,成人の血管長はおよそ100,000kmと言われており,毛細血管の分岐を考慮すればその全てが一直線に接続しているわけではありませんが,それでも50秒という時間で一周するためには相応の速度が必要です.血流を生み出すために心臓は拍動をしています.拍動は収縮期と拡張期を繰り返すことによって生まれます.収縮期には,心室内の血流が一気に動脈に送り出されこのときに血流が生まれます.そして同時に,心房内には静脈から血液が流入します.次の拡張期には,心房から心室内に血液が流入し,収縮に備えます.この時,動脈に送り出される血流の圧力を一般に血圧と言い,収縮期の血圧を最高血圧,拡張期の血圧を最低血圧と言います.人間の一生を80年とし,平均的な脈拍を70回/分とすると,心臓は一生のうちに約30億回,拍動することになります.工業製品として考えれば,現実的な数字とは言えず,品質保証することは極めて困難な回数です.また,当然,基本的にメンテナンスを行うことは困難であるため,外的な保守は行わずに運用し続けることになります.容易にできる対処療法としては薬物による内的な保守のみです. ・南淵 明宏, 心臓は語る, PHP研究所 ・小柳 仁, 心臓にいい話, 新潮社 ・磯村 正, 治せない心臓はない, 講談社 ・長山 雅俊, 心臓が危ない, 祥伝社 ・東嶋 和子, よみがえる心臓―人工臓器と再生医療, オーム社 ・日本人工臓器学会, 人工臓器は、いま―暮らしのなかにある最先端医

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 designの意味

デザインについて概要を述べます.まず,designという単語について詳説します.この語はラテン語の「designare」を語源として持っています.designareがdo signとなり,それがdesignへと変化しました.つまり,designare = do signとは「目印を付ける」という意味です.ここから,現在の工業製品において一般的に用いられるデザインの意味が生まれました.一つはつくる対象物を取り巻くあらゆる要素・要因を考える「計画・企画・設計」であり,もう一方は,つくる対象物そのものの要素・要因を考える「意匠・装飾・演出」です.ここで現代の辞書による説明を引用してみます.まず,The Concise Oxford Dictionary - Tenth Edition (Oxford University Press 1999)によるとdesignとは以下のように定義されています. [n.] 1. a plan or drawing produced to show the look and function or workings of some thing before it is built or made. -> the art or action of conceiving of and producing such a plan or drawing. -> purpose or planning that exists behind an action or object. 2. a decorative pattern. [v.] decide upon the look and functioning of (something), especially by making a detailed drawing of it. -> do or plan (something) with a specific purpose in mind. また同様に,広辞苑第五版(岩波書店)ではデザインは以下のように定義されています. ①下絵。素描。図案。 ②意匠計画。生活に必要な製品を製作するにあたり、その材質・機能および美的造形性などの諸要素と、技術・生産・消費面からの各種の要求を検討・調整する総合的造形計画。 何れ

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 再生医学

薬物を用いる治療は,様々な治療法の中でも一般的です.しかし,組織の欠損など不可逆的に人体の内外が損傷を受けた場合には医薬では治療できません.そこで従来は,臓器移植や人工臓器埋込術といった方法で治療されてきました.しかし,前者に関しては供給される臓器数に限りがあることや,倫理的問題の残存が問題視され,後者に関しては臓器によっては未だ十分な機能・性能が得られていないという現実があります.更に両者に共通して言えることは生体適合性の問題です.臓器移植では,親近者同士であっても免疫抑制剤が必要であり,その副作用による影響も無視できません.一方,人工臓器埋込術では,異物に対する防護機構として血栓形成・免疫応答・炎症反応・排除反応などの可能性,機器そのものの機能低下が懸念されます.これらの短所を補う形で進められて来たのが再生医学です.再生医学とは,組織が欠損した箇所に対して,主に細胞や生体組織を工学的に再構成・培養・増力し,組織の生体誘導を手助けするための細胞の周辺環境を工学技術・方法論を用いてつくり与え,移植することで生体側の再生能力を発揮させ治癒を促す研究・治療を行っている分野です.類似の名称として再生医療・再生医工学などといった名称も用いられていますが,対象領域はほぼ一致しています.ただし,再生医学が基礎生物学医学研究の発展を目的としているのに比べ,再生医療はあくまでも直接患者の治療に活用することを目的としています.その目的を端的に表すと「大きく損傷したり失われた生体組織と臓器の治療のために,細胞を用いてその生体組織と臓器を再生あるいは再構築する技術の確立」となります.訳語の元になった用語は「Tissue engineering」であり,日本語の直訳が生体組織工学であることからもわかるように,生体組織を対象とした工学的内容を強く持つ分野です.元々,移植肝臓不足からくる肝不全による子供達を助けるため,肝細胞を増殖し,肝移植に利用したことに端を発します. ・筏義人: 患者のための再生医療, 米田出版, 2006 ・筏義人: 再生医工学, 化学同人, 2001 ・田畑 泰彦: 再生医療のためのバイオマテリアル, コロナ社, 2006

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 Editor

ツールによって牽引されることもある。本稿は教えていただいたEditorを使って作成しています。800文字をどれだけの時間で打つことができるか、ということを目標としてまずはツールを使うことを目的に書き進めてみます。私がキーボードというものに触れたのは、大学に入学した際に購入してもらったMacintosh PowerBook 520cが最初です。それ以前にもどこか(電気屋さんなど)でも触れているとは思いますが、機種を意識したり、触っていることに喜びを覚えたりはしませんでしたので、この子が最初と認識しています。大学に入学した時、配付された資料の中に、「大学生活を送るにあたって、この機器がないと不便です」という内容の用紙が一枚有り、それが、親を説得する極めて有効な資料になったことを今でも覚えています。パソコン、というモノへのあこがれはありつつも、当時の実家にもそういった機器はなく、私のパソコンとの関わりは大学生活のスタートと一致していました。まずは何をしたら良いのか、そんなことを考えながら大学の生協の書籍コーナーでぱらっと開いたパソコン入門書なるものから、最初に目に飛び込んできたのは「ホームポジション」なる単語でした。文字を打つ時に最も効率良くキーを打鍵すことができる場所、と記され、どのキーをどの指で押下するのかが、明記されていました。何も知らなかったことが幸いし、そのポジションを私は何気なく覚えました。結果、その一般的に(どの程度一般的かは不明ですが)ホームポジションと呼ばれているものが私には完全に身につきました。完全ブラインドタッチは言うまでもなく、iPad等、ソフトウェアキーボードでも、キーピッチがある程度確保されていれば、全く問題なく入力することができます。多分、iPadでも通常のキーボードの8割程度の速度が出せるはずです。そうなってくると問題になるのは、ソフトウェア側の対応です。打鍵速度が速い、とは言えないまでも、そんなに遅くはないため、例えば上述したiPad等では押下に対する反応が着いてこられず、ソフトウェアに身体を合わせるように入力しています(そのため「出せるはず」と記述しました)。それはMacでも同様で、例えば今、大学で使わせていただいているのは新しいiMacですが、ソフトウェアの問題によるモノか、通常のワープロソフトでは入力が間に合いません。しかし、そん

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 現状

There is the word of design in the various scenes. The scene contains academic field, not to mention the consumer commodity field. There are some societies, graduate courses, faculties and departments in Japan. - Society: 2/1560 (0.1%) - Graduate course: 2/189 (1.1%) - Faculty: 8/390 (2.1%) - Department: 75/1423 (5.3%) A ratio is so little. But, a breakdown is interesting. - 22: architecture - 20: art and design - 9: domestic science - 6: mechanical engineering - 6: electrical and electronics - 5: design engineering - 3: information and environment - 1: human science - 1: applied chemistry - 1: management engineering - 1: healthcare and medical treatment Because architecture has so long history, the field is so many departments. But, the 3rd is domestic science, and the 4th is mechanical engineering. That reason is the width of word’s meaning. And the meaning goes out of the traditional meaning. デザインという言葉は、 現在、様々な場面で使用されています。 所謂、コンシューマ製品は勿論ですが、 学術領域においても、

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 構成

- Introduction of design -> Previous study of design - About medical and engineering in design <--> About design in medical and engineering - Interdisciplinary design study - Basic study - Study of self-derived cell sheet comprising a piezoelectric film ultrasonic transducer - Development of incubator for cell sheet - Design Proposal for a Hybrid Artificial Heart - Discussion and conclusion ● デザイン概論(既往研究)   →デザイン研究の不足 ● デザインにおける医学・工学   ←→医学・工学におけるデザイン ● 学際的デザイン領域について ● 基礎研究   ・自己由来細胞シート培養速度促進研究   ・細胞培養インキュベータ開発   ・ハイブリッド型人工心臓提案 ● 考察・結論

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 目的

I want to reconsider a purpose of my blog. Writing is not a purpose. The purpose is transmission. That changed before I knew it. I have to think about the relationship between design, medical and engineering. And I will transmit the relationship. Next step, I try to make new work ability. 仕切り直し。 書くことが目的ではない。 目的は伝えること。 何時の間にか、 書くことが目的になっていた。 デザイン・医学・工学を考え、 それを伝える。 そして、 そこから新しい職能を生み出す。

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 継続

What is meaning of continuing? “Endurance makes you stronger.” I wrote about “Value of time” in my blog. A time goes forward at a constant speed for all people. There is a time in endurance as element. Generally, change depending on a time is called factor. But, I think that a time in endurance is called element. And the element works absolute standard in endurance. それでも続けることの意義。 「継続」は力なり、 と言います。 以前、 時間の価値 に関して書きました。 時間は誰にとっても、 同じ速度で進みます。 継続とは、 その時間を、 一つの要素とした行為です。 時間によって変化するモノは、 一般には要因と呼ばれますが、 継続では、 それが要素化し、 絶対的な基準として働きます。

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 「姿」の意味

I wrote the meaning of two Chinese characters. Those words are “能” and “態” . When I researched surrounding words, I found one Chinese character. That is “姿”. The meaning of "姿" is woman hurried prepare herself. And the deep meaning is the state as it is. I imagine the indescribable scene. I think about the word of “姿態”. Dictionary says that the meaning of word is figure or shape of body. But, if you think about “姿態” with the meaning of each Chinese characters, you can imagine deep meaning. I feel “姿態” is static word. Those real meaning is so dynamic. 先日、 「能」と「態」の覚え書き を書きました。 その後、 色々調べていく中で、 浮かび上がってきたのが 「姿」という漢字。 「姿」とは『漢字源』(学習研究社/藤堂明保)によると、 「会意兼形声。  次は「二+欠」の会意文字で、  二(そろえる)、欠(屈んだ様)から、  人がしゃがんでそそくさとものをそろえる様。  姿は「女+音符次」で、  女がそそくさと身繕いして、  顔や身なりを整える意を示す。  また、  全体をざっと繕っただけで、  むやみに手を加えないそのままの様子。」 何とも言えないような、 情景が目に浮かびます。 「姿態」という言葉があります。 辞書に出てくる意味は、 「すがたやからだつき」というものですが、 一つひとつの漢字の意味を考えると、 「手の加えられていないそのままの様子に、  『できる』という心構えが備わっていること」 と言えるのではないでしょうか。 と

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 生きる、とは

“Always the same day” does not exist. What is “always the same day”? Each day is different. If you can feel a little change and if you can accumulate change, you make big change. When I see the day, I think about planning the coming year. But, I have to really think how I want to live each day. いつもと同じ日、 なんてことは、 ありえません。 「いつも」ってなんでしょう。 一日一日は、違う日です。 たとえ小さな変化でも、 そのことに気がついて、 それを積み重ねることができる人が、 大きな変化をつくることができる人です。 この日を迎えると、 「この歳をどんな一年にするか」と、 毎年考えます。 しかし、 本当は、 一日一日、 どんな風に生きるのか、 考えなければいけません。

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 伝達3:知りたいこと

I think about essential thing to transmit the information that a person wants to know. 1) I should know what a person want to know. 2) I should know why a person wants to know. 3) I should know what a person knows. 4) I should explain the information that a person wants to know with the known thing of a person. The first thing is so important. It is not surprising that the first thing. To tell the truth, the second thing is too important. I think that important thing is not only the first thing but also the second thing. 相手が、 知りたいと思っていることを 伝達する。 1)相手が何を知りたいと思っているかを、 知っていること。 2)相手が何故知りたいと思っているかを、 知っていること。 3)相手が何を知っているかをを、 知っていること。 4)相手が知りたいと思っていることを、 相手が知っていることで、 説明できること。 1は勿論として、 重要なのは「2」です。 1にだけ答えるのでは、 不十分。 2を踏まえて伝えることが 大切です。

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 伝達2:既知と未知の境界線

I think about essential thing to transmit someone new information. 1) I should know what a person doesn’t know. 2) I should know what a person knows. 3) I should explain the unknown thing of a person with the known thing of a person. Those are nothing special. But, those are too difficult. I can see the boundary line between known and unknown. 相手に、 新しい情報を伝達するために、 必要なこと。 1)相手が何を知らないかを、 知っていること。 2)相手が何を知っているかを、 知っていること。 3)相手が知らないことを、 相手が知っていることで、 説明できること。 当たり前だけど、 難しい。 知っていることと、 知らないこと。 境界線は目には見えない。

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 「能」と「態」の覚え書き

「能」・「態」 There are two Chinese characters. Those are “能” and “態”. Let’s research those characters. “能”’s meaning is working with tenacious power. “態”’s meaning is “能” with own mind. That is a mental attitude that I can do this. The Chinese character that means “function”, “performance” and “effect” has “能”. And the Chinese character that means “form” has “態”. I want to think about correlation of those words. 「能」と「態」、 『漢字源』(学習研究社/藤堂明保)によると、 それぞれ以下のような意味になるようです。 「能」とは、 獣の脂や亀の足のように、 粘り強い力を備えて働くことを、 意味しているとのこと。 また、「態」とは、 それに心が付くことで、 「こうできるぞ」という心構えを、 意味しているとのこと。 機能・性能・効能と、 形態。 その相関性を考えたい。

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 伝達

Even if you hit on a good idea, even if you think about a good idea, even if you consider a good idea, if you can’t transmit the idea, all action is self-satisfaction. Design consists of three factors. Three factors are “idea”, “expression” and “transmission” . Transmission isn’t so easy. It is necessary that the person who understands understand the person who doesn’t understand. And the person who understands has to select appropriate information and suitable methods. That thing is like product design process. You have to play two characters in that process. Those are a designer and a user. The key is that you become selfishness . Correlation between transmission and selfishness どんなに思い付いても、 どんなに思い込んでも、 どんなに思い遣っても、 それを伝えることができなければ、 単なる、 自己満足でしかありません。 デザインとは、 「発想」し、 「表現」し、 「伝達」することで、 初めて成立し、 価値を持ちます。 伝達とは、 言うほど簡単なことではありません。 「理解している人」が、 「理解していない人」を理解し、 適切な情報と、 適切な方法を、 選択する必要があります。 それはある意味、 デザインを行っていく際に、 つくり手が、 同時に、つかい手になることで、 検証していくことに似ています。 如何に自分

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 やってみる

“バカになる” It is so important to act with own will. When someone tells you something, you should discuss that content. The purpose is to make the better thing. But, you need to have the time of “バカになる” at times. If you have strong willed, you might miss information from outside. And if you are patient and restrain yourself, you can see the more important thing. もう一回、 バカになる。 意志を持って行動することは、 勿論大切なことです。 人から言われたことに対しても、 常に疑問を持ち、 納得のいくまで議論を重ねる。 目的は、 より良いモノをつくることです。 只、そのために、 バカになる 時間が必要なこともあります。 自分の意志は、 時として、 外からの情報を素直に受け取ることを 難しくします。 自分の意志を抑えて、 バカになって、 まずやってみる。 そうすることで見えてくること。 気付けることがあります。

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 “バカになる”

I don’t know precise English word of “バカになる”. A dictionary says “being patient and restrain yourself”. I don’t think that the word meaning is that. Yes. This feeling is essential thing. バカになる。 辞書を引くと、 「自分の意志を抑えて我慢すること。」 思っていた意味とは、 ちょっと違い、驚きました。 でも、そう、 この感覚が必要です。